【コラム】「降級制度廃止」について考える

◆何の為、誰の為の制度廃止か?

先週主催者から「2019年夏より降級制度を廃止する」という事が正式発表になった。毎年6月になると、4歳馬がその時まで稼いでいた収得賞金を半分にしてクラス体系を整えるというものだが、これによりその制度を理解している競馬ファンはそこを考慮しながら馬券を組み立て、夏競馬を乗り切ってきた。それが再来年からなくなるというのは、ただでさえ難解な夏競馬が、より難しくなるという事である。新規の競馬ファンに理解してもらいやすくするという狙いもあってここに至ったという話だが、ルールやセオリーを知っている人が強いというのが競馬だけでなくギャンブルの鉄則であって、攻略法を1つ封じられたギャンブラーが新たなる攻略法を見出すまで買い控える、それはおろか違うギャンブルに鞍替えするかも、という考えはなかったのだろうか。はっきりいうが、新規の競馬ファンは、1レースで1万円賭けるなどという事はしない。中央競馬の売り上げを支えているのは昔からの競馬ファンであり、新規獲得の為にその部分を大事にしないようにも見受けられるこの決定は、少々疑問が残ると言わざるを得ない。

ただ個人的に今回の決定で気になっているのは、競馬ファン以上に馬自身の事である。この降級制度廃止は強い馬にとってはありがたい事なのだろうが、下のクラスでくすぶっている馬、特に中小の個人馬主が持つ馬に関しては、本当に厳しい決定なのではないかと思う。降級が無くなる事で、馬の実力が頭打ちになり、走らない馬はすぐに引退という事が増えて来るだろう。セカンドライフまでの道程がまだ不明瞭な部分が多い事を考えると、多くの引退した馬達にとって、行きつく先は「死」である。一方、生産牧場に関しては、一見馬を売るスパンが短くなるのは良さそうにも見えるが、結局その恩恵を受けるのも大手牧場だけの事。中小牧場だけを見れば、中小規模の個人馬主をお得意様にしているところが多く、とっかえひっかえ馬を買いかえられるような財政状況にある人物は稀である。よって、あまり出費が嵩んで馬主業を撤退される事があれば、牧場側も共倒れとなってしまう。つまりこちらも、待っているのは「死」なのである。

少数の大物馬主・少数の大物生産者・まだ見ぬ新規競馬ファンに照準を合わせたこのルール変更は、多数の中小個人馬主・多数の中小生産牧場主・昔からの競馬ファンに悪い影響を及ぼさなければ良いのだが。何より多数の競走馬たちの馬生が全うされる事を、切に願っている。

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  • TRACKMAN トラックマン
  • 元トラックマンという経歴を活かした競馬コラムを展開する。元トラックマンだけが知る情報も詰め込まれた、競馬ブロス所属の人気コラム二スト。

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