WASJ開催に寄せて

◆2015年に冬から夏に移行されたWASJ。これで良かったのか?

今週末、舞台を札幌競馬場に移して3回目となるワールドオールスタージョッキーズ(以下WASJ)が行われる。国内外のトップジョッキーが一堂に会し今年も熱戦が予想される。参加予定の騎手は以下の通り。

関東  戸崎 内田博 田辺 関西  ルメール デムーロ 武豊 福永

海外  A.クラストゥス(仏) E.ダシルヴァ(加) K.マリヨン(豪) K.マカヴォイ(豪) J.モレイラ(香) T.クウィリー(英)
地方  中野省吾

この中で個人的に最も注目したいのが、初参戦となる船橋の中野省吾騎手。代表選定戦であるスーパージョッキーズトライアルを4戦3勝2着1回とパーフェクト連対で優勝した実力とそれに見合う程のビッグマウス振りは、たとえ相手が中央や世界でも何か面白い事をやってくれるのでは?と期待せずにはいられないほどだ。また、紅一点として参加するオーストラリアのK.マリヨン騎手も、コーフィールドカップを3回制した名騎手ミック・マリヨン騎手の孫娘という血筋でありながら、全治9か月の落馬事故から復活を遂げて見習騎手リーディングを獲得するなど、根性のある有望騎手であり、初来日の日本での活躍が期待される。

ただ前々から気になっていたのが、それまで暮れの阪神でやっていたこのシリーズ(前身名はワールドスーパージョッキーズシリーズ)を、2015年からこの時期の札幌に開催を移動させた事である。この理由に関して当時の新聞に記されたJRAの説明によると、

①秋 – 冬は短期免許で騎乗する外国人騎手が多く来日しており、既に国際色が強い

②上記の短期免許で騎乗する外国人騎手が、ワールドスーパージョッキーズシリーズの選出騎手とも重複する

③東京開催の場合は同時期に国際招待競走の「ジャパンカップ」も施行されており、ワールドスーパージョッキーズシリーズの注目度が相対的に低下する

という事を挙げていた。確かに元々注目度があまり高くなりにくい札幌で、集客の為にこの人気シリーズを持っていきたい気持ちは分からないでもない。ただ個人的見解として私が率直に思うのは、ジャパンカップは世界的にまだそこまでメジャーなレースではないのでは?という事である。1着賞金3億もありながら、ここまで世界的に注目の低いレースも珍しい気がする。多くの競馬人にとって11月はブリーダーズカップの月であり、そこから欧米の競馬はオフシーズンである。さらにいえばその後レースを使おうとする陣営は、その舞台を日本ではなく香港に目を向けるのだ。ひどくなると香港カップの足慣らしとしてジャパンカップを使う陣営も存在する。要するに日本競馬は世界から見ればまだいいカモとなっているのだ。欧米のオフシーズンに海外のトップジョッキーが挙って短期免許を取りたがるのもその良い例だろう。

少し話がずれたが、日本競馬の格を挙げていくのなら、ジャパンカップの価値をもっと上げるべきで、その一環として有効に使えるのがWASJなのではないかと考えている。8月というハイシーズンでは、欧米のトップジョッキーはまず地球の裏側まで乗りに来ることはない。確かにオフシーズン中のオーストラリアと香港からはトップ騎手が乗りに来てくれるが、全員が全員モレイラ級という訳にはいかないだろう。欧米競馬のオフシーズンに行えば昔のようにトップジョッキーが集まってくれる。そうすれば同時期に行われるジャパンカップに対しての認識も参加騎手から変わって来て、賞金3億に見合うレースができる様になるのではないか。思えば10年以上日本馬ばかりが勝って外国馬が馬券になっていない国際GⅠなど本当に「国際」と言えるのか?

これまで日本競馬の格を上げ、この位置まで押し上げてきた関係者の方々の並々ならぬ努力には頭が下がるばかりだが、日本の更なる競馬レベルを上げ、それを真の意味で世界に理解してもらう為にも、WASJの開催時期は見直していいのではないかと、切に思う。

 

columnist

colum-C

  • Horse racing Party
  • 競馬関係者 C
  • FORMER/TRAINER 元・調教師
  • 日本馬産界の「今」を追いかける競馬ライター。元・調教師という特色がら、日本生産界の重鎮たちとも繋がりを持っている。そんな競馬関係者Cのコラムをご堪能ください。

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